与信管理業務のルーツ
企業間取引には欠かすことのできない与信管理。まず与信管理という言葉は、企業の取引習慣はどのような流れで発生・誕生したのかを学びましょう。
商取引におけるモノとカネの流れ
私たちが普段、コンビニエンスストアなどでモノを購入するときには、モノを受け取ると同時にカネを支払います。ただし企業間でこの取引方法を取った場合、膨大な量の帳簿をつけなければなりません。そのため、例えば1カ月など区切りを決め、まとめて取引を行います。モノが先でカネが後となり、代金を回収するまでにタイムラグが生じるのです。
ここでモノ(商品・サービス)は提供したけれどもきちんとカネを払ってくれるか、という懸念が発生します。それを検証するのが「与信管理」です。
信用調査機関の誕生
1760年代から1830年代にかけて起こった産業革命も終わりに近づいた1830年、イギリスにて世界初となる信用調査機関が誕生しました。
産業革命によって生産量の拡大、取引の拡大が起こった結果、商品の引渡し時には代金支払いを行なわず決められた期日までに猶予を持ち、後日支払いを行なう信用取引が発生し、資金の立替え、資金回収、信用調査などの需要が大きくなりました。この中でも自身で行うには作業負荷の高い信用調査を代行するものとして信用調査機関が誕生しました。
なお、現存する最古の信用調査会社であるマーカンタイル・エージェンシー(現・D&B)は1841年に創業しています。また1857年にフランスで、1859年にはドイツに、それぞれ信用調査機関が設立され、信用情報の交換が行われるようになったと言われています。
年 | 国名 | 社名 |
---|---|---|
1830 | イギリス | ペリー・コマーシャル・エージェンシー(世界最初の調査機関) |
1841 | アメリカ | マーカンタイル・エージェンシー(現在のD&B) |
1892 | 日本 | 商工社(現在の東京商工リサーチ) |
日本では1892年、白崎敬之助によって国内で最も歴史のある信用調査会社「商工社」(現在の東京商工リサーチ)が創業しました。当時は商圏を都内に限定していたものの、次第に全国に調査網を広げていき、現在では世界最大の信用調査会社であるD&Bと業務提携し、全世界の企業情報を提供しています。
販売先の与信管理を目的として発生した与信管理業務は、現在、仕入先や外注先など全ての取引先の信用を管理し、良質な取引先の確保、取引基盤の強化、経営全体の安定としての概念を持っています。さらに会社法やJ-SOX法に基づくリスクマネジメント、内部統制としても重要な経営施策と位置付けられています。
東京商工リサーチでは、全国の企業へ取材をし、収集した企業情報をデータベース化することで、現在では多様化するユーザーの要望に応えるべく、ICTソリューションも手がけています。
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