九州電通(株)(TSR企業コード:920064574、法人番号:2310001008728、大村市福重町340、設立1973(昭和48)年6月、資本金7040万円、角谷省一社長)は6月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、保全命令を受けた。申請代理人は三澤智弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、東京都中央区八重洲2-8-7、電話03-3273-2600)。負債総額は債権者約110名に対し34億円。
水晶デバイスの開発製造を手掛けていた。しかし、水晶部品市場の競争激化などの外的環境の変化、90年代以降の海外生産拠点への投資、ウエハー事業などの新規事業の失敗などで財務面が悪化。このため、2018年より長崎県中小企業再生支援協議会が関与のもと、金融機関から元利金返済猶予を受け、再建を目指すためスポンサーを探していた。
風評リスクを考慮し取引先や事業再生ファンドを中心に打診・交渉を継続していたが、米中貿易摩擦の影響による経営環境の悪化もありスポンサー探しは難航。こうしたなか、2021年3月、債権者のリサ企業再生債権回収(株)(TSR企業コード:260396303、法人番号:9010401062902、東京都港区)、(株)半蔵門キャピタルインベストメンツ(TSR企業コード:016948297、法人番号: 9010001173100、東京都港区)から長崎地裁に破産を申し立てられていた。
薮塚木材工業(株)(TSR企業コード:270059520、法人番号:7070001020265、伊勢崎市上植木本町745、設立1963(昭和38)年5月、資本金3500万円、大石松平社長)は6月14日、東京地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。
破産管財人には佐藤真太郎弁護士(佐藤真太郎法律事務所、東京都港区西新橋1-6-12、電話03-6257-3811)が選任された。負債総額は債権者107名に対し23億8000万円。
1960年創業。長年にわたり木工家具の加工と、大手パチンコメーカーの下請として木枠の製造を手掛け、近年は遊技機器の木枠・裏箱製造がほぼ100%を占めていた。遊技機器木枠・裏箱の製造業者は、全国でも数が少なくニッチな業界で底堅い需要があり、2019年12月期には売上高約16億円を計上していた。
しかし、2020年12月期は「新型コロナウイルス」感染症拡大の影響から、ギャンブル等依存症対策基本法の改正規則に対応した新台への入替期限が1年延期となった。これにより新台の入れ替えを控える動きが顕著となり受注が減少し、売上高は約10億円に落ち込んだ。
さらに2020年10月、金融機関に関連会社の(株)K.テクニカ(TSR企業コード:310241553、法人番号:8030001024665、佐波郡玉村町)との間で循環取引による粉飾決算を続けてきたことが発覚、金融機関からの資金調達が困難となった。ファクタリング業者を利用することで資金繰りを維持していたが、取引先にも粉飾決算が発覚し、信用が失墜。ここにきて無償貸与品が引き上げられる事態となり、事業継続が困難になった。
TK興業(株)(旧:燕化学工業(株)、TSR企業コード:291094171、法人番号:9010801007399、大田区東六郷1-18-4、設立1956(昭和31)年5月、資本金8000万円、代表清算人:池上キヨシ氏)は6月3日、東京地裁から特別清算開始決定を受けた。負債総額は20億円。
プラスチック着色剤の国産製造を目的に設立。現在はプラスチック合成樹脂の混練(コンパウンディング)および着色加工を中心とし、自動車バンパーや家電、OA機器の部品などの樹脂製品の加工、着色を手掛けていた。千葉県内に生産工場を設置するほか、神奈川県内に2カ所の工場と研究所を設置。化学メーカーや専門商社などを得意先に長年の実績を有し、ピーク時の2008年9月期は売上高81億7786万円をあげていた。
しかし、近年は過去の設備投資や原材料価格の高止まりによるコスト負担が重く、生産性が悪化していた。2019年9月期は、取引形態の変更などもあって売上高は43億6825万円まで減少。債務超過が続き有利子負債が重荷となるなかで、中小企業支援協議会を通じて支援企業を募っていた。
こうしたなか、化学品専門商社のKISCO(株)(TSR企業コード:570050774、法人番号: 5120001077392、大阪市中央区)への事業譲渡が決定。2020年12月1日付で当社の全事業、全従業員をKISCO傘下の新会社:燕化学工業(株)(TSR企業コード:136981879、法人番号:9010801031283、大田区)に譲渡した。現社名に変更後、同月27日の株主総会の決議で解散し、清算手続きに入っていた。
(株)昭和(TSR企業コード:620062835、法人番号:7150001004887、生駒市北田原町2443-1、設立1967(昭和42)年1月、資本金9185万円、高安輝樹社長)は再度の資金ショートを起こし6月10日、行き詰まりを表面化した。負債総額は20億円。
チタンをはじめとした高耐食材料を扱い、特に大型タンクや熱交換器等、化学プラント事業向けなどの製品加工に強みを有していた。環境・エネルギーの分野では多数の特許を保有し、技術力への評価も高く、2009年1月期にはピークとなる売上高17億442万円を計上。その後も10~11億円台の年間売上高で推移していたが、開発に伴う先行資金需要が大きく、借入依存度の高い状態が続いていた。
金融機関に対して返済猶予を要請し資金繰りを維持する一方、近年は塩素タンクのチタンコーティングや光触媒コートなど複数の新事業に取り組むほか、一部の受注を賃加工の形態にするなどして改善に取り組んでいたが、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響を受けて受注が低迷。資金繰りが限界となり、2021年5月初旬に資金ショートを起こし、関係者との協議を経て破産申請に向けて6月1日付で弁護士に一任していたところ、今回の事態となった。
(株)ガゼール(TSR企業コード:470003294、法人番号:7200001010871、羽島郡岐南町伏屋5-1、設立1951(昭和26)年7月、資本金6980万円、加藤公英社長)は6月29日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は渡辺和也弁護士(さくら共同法律事務所 、東京都新宿区四谷1-6-1、電話03-6384-1120)。 監督委員には上田慎弁護士(梶谷総合法律事務所、東京都千代田区大手町1-7-2、電話03-5542-1453)が選任された。負債総額は債権者83名に対して19億3000万円。
メンズカジュアルウェアの卸売を手掛けていた。しまむらやライトオンなど大手量販店との取引実績を重ね、2003年2月期には売上高64億919万円をあげていた。しかし、流通や消費の変化に加え、低価格帯商品との競争が激化から販売低迷が長期化。2020年2月期は売上高27億1679万円と事業縮小が続き、採算の悪化から資金面にも影響が出始めた。
また、「新型コロナウイルス」の影響でさらに販売が落ち込んだほか、取引先の(株)コイケ(TSR企業コード:400660636、法人番号:9180001035738、名古屋市中区)が2021年5月14日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。当社の動向が注目されるなか、資金繰りが限界に達し、今回の措置となった。
関連サービス
人気記事ランキング
「戸建住宅」メーカー115社 増収増益 3年連続増収も、減益企業は半数に
全国の主要戸建メーカー、ハウスビルダー115社の2023年度決算(2023年4月期-2024年3月期)は、売上高8兆1,214億円(前年度比3.8%増)、利益4,728億円(同17.8%増)と増収増益だった。 2023年度の新設住宅着工戸数(持家+分譲戸建、国交省)は、前年度から1割減(9.9%減)の35万3,237戸にとどまった。
2
2024年の「早期・希望退職」募集1万人が目前 上場企業53社、人数非公開の大型募集相次ぐ
2024年1月から11月15日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は53社(前年同期36社)で、前年同期の約1.5倍のペースで推移している。集計の対象人員は、9,219人(同2,915人)と3倍に増加し、すでに2023年の年間社数、人数を上回った。
3
2024年1-10月「後継者難」倒産396件 後継者不在が深刻、年間最多の500件も視野
代表者の高齢化など、後継者不在による倒産が増勢をたどっている。10月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は49件(前年同月比32.4%増)発生し、1-10月の累計は396件(前年同期比10.3%増)と1-10月の最多を更新した。
4
「雇用調整助成金」の不正受給公表が累計1,446件 全国ワーストは愛知県、年商を上回る不正受給は31社
全国の労働局が10月31日までに公表した「雇用調整助成金」(以下、雇調金)等の不正受給件数が、2020年4月から累計1,446件に達したことがわかった。不正受給総額は463億7,025万円にのぼる。2024年10月公表は35件で、4月(23件)に次いで今年2番目の低水準だった。
5
船井電機「破産開始」への対抗、天文学的な成功率
船井電機(株)(TSR企業コード:697425274)の破産手続きが混沌としている。10月24日に東京地裁へ準自己破産を申請し同日、開始決定を受けた船井電機の破産手続きに対抗する動きが明らかになった。