こうして倒産した

2008年(平成20年)11月度こうして倒産した・・・
(株)モリモト
  • 東京
  • 不動産開発・分譲
負債総額
1615億円
 

 (株)モリモト(渋谷区恵比寿南3−7−4、設立昭和48年5月、資本金57億7176万円、森本浩義社長、従業員285名)は、11月28日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は綾克己弁護士(千代田区麹町3−5−1、ときわ法律事務所、電話03−3222−7850)ほか。監督委員には宮川勝之弁護士(千代田区丸の内3−3−1、東京丸の内・春木法律事務所、電話03−3213−1081)が選任された。負債総額は債権者約700名(一般個人含む)に対して約1615億2000万円。

 同社は昭和58年7月に創業。東京城南地区・横浜川崎地区を中心に「クレッセント」「ディアナコート」「ピアース」シリーズでマンション分譲を行ってきたほか、近年では賃貸不動産開発事業にも注力し、「イプセ」「クイズ」「コンカード」シリーズを展開してきた。特に不動産ファンド市場の進展にて投資用賃貸不動産の旺盛な需要を追い風に業容を拡大し、平成20年2月には東証2部へ上場。連結子会社5社及び持分法適用関連会社1社でグループを形成し、同年3月期は単体で年商約1150億5800万円を計上していた。

 しかし、平成19年の夏以降サブプライムローン問題に端を発し、不動産市況が急激に冷え込み、同20年に入ってからは販売用不動産の在庫が増え始め、特にリーマン・ブラザーズ証券破綻後には急激に商品在庫が膨らんでいた。このため、在庫に伴う資金の固定化が進み、10月には物件の販売先が資金調達困難から入金が滞り、借入金の約定弁済も困難となっていた。10月末日に同21年3月期第2四半期報告書の提出を延期していたが、監査法人からの監査意見も得られず、今回の申し立てとなった。

オリエンタル白石(株)
  • 東京
  • PC建設工事
負債総額
605億円
 

 オリエンタル白石(株)(千代田区平河町2−1−1、設立昭和27年10月、資本金30億円、加賀屋正之社長、従業員1355名)は、11月26日東京地裁に会社更生手続開始を申し立てた。申立代理人は佐藤順哉弁護士(千代田区内幸町2−2−2、石澤・神・佐藤法律事務所、電話03−3508−0721)ほか。負債総額は605億円。

 同社は昭和27年10月、オリエンタルコンクリート(株)として設立。フランスのフレシネー工法(プレストレストコンクリート工法)を用いた土木・建築工事の設計施工を行い、橋梁、上下水道施設、モノレールなど交通システム、地下・港湾構造物などの建設を手掛けてきた。各地に営業所や工場などを設置し、同47年に小野田セメント(株)(現:太平洋セメント(株)、東証1部)の資本傘下に入り、平成2年4月オリエンタル建設(株)に商号変更した。同7年4月には東証2部に上場、同8年9月には東証1部指定となった。同19年10月には、ニューマチックケーソン工法最大手で橋梁ほか各種建設工事を行っていた(株)白石(当時:東証2部)を吸収合併して現商号となった。

 オリエンタル白石(株)としての第1期決算である平成20年3月期単体では、年商858億9100万円に対して97億9300万円の赤字を計上。今期の中間決算では赤字見込みから上方修正され、連結で1800万円の利益を確保、単体でも1億1800万円の黒字予想を公表していた。しかし、平成19年夏以降のサブプライムローン問題、資源高騰等による景気の後退、金融情勢の悪化のため、金融機関からの借入・借換が困難となり、11月末日の目処が立たなくなった。

(株)ディックスクロキ
  • 福岡
  • 不動産開発・販売・管理、建築工事
負債総額
181億円
 

 (株)ディックスクロキ(福岡市中央区高砂2−11−11、設立昭和56年2月6日、資本金3億5002万円、板倉雅明社長、従業員105名)は、11月14日福岡地裁に民事再生手続開始を申し立て、同日保全・監督命令を受けた。申立代理人は伊達健太郎弁護士(福岡市中央区大名1−3−12、電話092−714-2000)ほか6名。監督委員は金子龍夫弁護士(福岡市中央区赤坂1−7−5、電話092−712−0070)。負債総額は181億3100万円。

 同社は昭和59年11月、黒木透会長が黒木公益計算事務所を創業。平成5年1月(株)黒木事務所として法人化した。同3年3月不動産仲介・売買・管理を目的として(株)クロキビルディングを別途設立していたが、同9年4月黒木事務所を吸収合併し、(株)ディックスクロキに商号変更。同11年4月休眠会社であったミカサ電機(株)を買収し、同社を存続会社として(株)ディックスクロキを吸収合併し同商号に変更した。

 賃貸マンション・事業用ビルの土地を取得して建設し、不動産ファンドや機関投資家などに売却する開発業務を中核として、不動産管理業、建築請負業も併営。不動産投資の活発化に伴って高利回りを期待できる物件を開発して業績を伸ばし、平成12年11月には日本証券業協会(JASDAQ)に株式を上場した。同17年3月期の売上高は202億26百万円を計上し、直近の同20年3月期は過去最高となる売上高268億1百万円、純利益は8億54百万円を計上していた。

 しかし、米国サブプライムローンに端を発した金融情勢の悪化や先行きの景気不透明感から不動産市場が急激に悪化。平成20年3月期にファンドに売却予定であった宮崎市のホテルがキャンセルとなり、最終的には「ホテルパッシオーネ宮崎」として自社での運営を余儀なくされていた。また、「天神地区2大開発プロジェクト」として商業・オフィス複合ビルの開発を予定していた旧:ハミングバード駐車場も、不動産ファンド等へ売却を期待しづらくなり建物未着工のまま52億45百万円で売却。同様に商業・オフィス複合ビルを予定していた旧:岩田屋体育館も開発が進まない状況が続いていた。更に、建築基準法改正に伴い販売チャンスを逃すなか、多くの物件で開発を断念し販売不動産を大手不動産会社に売却。今年9月以降は同業他社の破綻が相次ぎ、不動産業者への融資が厳しくなり、物件の売却が困難となった。他方、不動産管理事業においては物件間の競争激化によりサブリース物件の家賃と敷金の逆ザヤが拡大する傾向にあり、資金繰りが圧迫されていた。

 このような状況の下、平成21年3月期第1四半期決算短信によれば、今後の業績推移によってはシンジケートローン契約に付された財務制限条項に抵触する可能性があり、銀行融資の返済及び借換が不透明になる可能性があるとして「継続企業の前提に関する重要な疑義」が付されていた。

(株)環商事
  • 滋賀
  • マンション、戸建分譲他
負債総額
158億円
 

 (株)環商事(大津市木下町18−8、設立昭和51年5月6日、資本金2100万円、川越孝司社長、従業員47名)は、11月17日大津地裁へ破産手続開始を申し立て、同日開始決定を受けた。申立代理人は山下信子弁護士(京都市中京区二条通寺町東入延寿堂第2ビル2F、京都さつき法律事務所、電話075−257−3361)。破産管財人には小松陽一郎弁護士(大阪市北区中之島2−2−2大阪中之島ビル8F、小松法律事務所、電話06−6221−3355)が選任された。負債総額は158億5100万円。

 同社は昭和48年3月創業、昭和51年5月に法人化したもの。(株)システムラボムラタ、(株)タマキコーポレーションでグループを形成、グループ中核企業として知名度が浸透していた。創業から法人化を経てしばらくは年間10億円に満たない売上に終始していたが、バブル景気を背景に徐々に売上を伸ばし、平成6年3月期には20億円台の売上を突破していた。同6年9月になりJR琵琶湖線南草津駅が開業、これにより周辺地区での積極的な開発を手掛け、「アメニティ」シリーズのマンションを相次いで分譲、京阪神地区への通勤圏として人気となり、販売状況は好調に推移、同9年3月期に売上30億円台、同14年3月期に50億円台、同17年3月期には売上70億円台を突破するなど急速な成長を遂げ、株式公開も視野に入れていた。以後も増収ペースを維持、同20年3月期でも88億6721万円と売上過去最高を連続更新、損益も経常で2億4854万円、当期純利益で1億2655万円とそれぞれ過去最高益を更新していた。

 しかし当初は平成20年3月期で100億円の売上を計画していたが、建築基準法改正の影響に加えて景気低迷から計画は実現せず、業者販売などで連続増収を維持していたものの販売状況に陰りが出始めていた。このような状況の中、米国のサブプライムローン問題に端を発する不動産市況の悪化、金融情勢の変化から販売が一段と落ち込むと共に在庫状態も悪化していた。景気後退が鮮明となる中で、遂に事業継続を断念、今回の措置となった。

(株)レアルシエルト
  • 東京
  • 不動産流通事業化
負債総額
130億円
 

 (株)レアルシエルト(港区北青山1−2−3、設立平成15年4月、資本金6億7000万円、新山勝己社長、従業員50名)は、11月27日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。 申立代理人は坂東司朗弁護士(中央区築地1−7−13、坂東総合法律事務所、電話03−3542−7890)。監督委員には福田大助弁護士(港区虎ノ門4−3−1、成和明哲法律事務所、電話03−5405−4080)が選任された。負債総額は約130億円

 同社は平成15年4月に(株)ハウディの商号で設立、同年9月に現商号へと変更した不動産業者。不動産の再活用をはじめとした流動化事業を積極的に推し進め、近年業績を急拡大させた。大手デベロッパーなどと共同で地域再開発事業を中心に展開。また他社との共同でマンション分譲事業にも注力していた。同19年9月期には過去最高となる年商約173億1300万円を計上、大手金融機関や投資事業組合などからも出資を受け新興市場への上場を予定していたほか、同年11月には不動産ファンド運営のケネディクス(株)(港区、東証1部)との事業提携を発表していた。

 しかし、その後はサブプライムローン問題を発端とする金融情勢の悪化、不動産市況の急激な低迷などから取り巻く環境は悪化。また、売上拡大の一方で不動産取得に伴う資金負担が増し、有利子負債も拡大していた。こうしたなか今年10月、マンション分譲などで共同事業を行っていた(株)ノエル(川崎市、東証2部、破産)に対して3億円超の不良債権が発生し、動向が注目されていた。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
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