「円安」関連倒産 11月は8件に倍増 1-11月累計75件、高止まりが続く
2024年11月 「円安」関連倒産(11月29日現在)
2024年11月の「円安」関連倒産は8件で、前年同月の4件から倍増した。1-11月累計は75件(前年同期50件)と前年同期の1.5倍増で、円安の影響が長引いている。
ドル円は11月29日、1ドル=149円台に円高が加速するなど乱高下が続き、10月末(152.25円)から円高気配を見せている。12月も1ドル=149円台で推移しているが、日銀の政策金利の引き上げで日米の金利差が縮小し、円相場は不透明な状況が続いている。
11月の「円安」関連倒産の負債総額は34億900万円(前年同期比317.7%増)で、3カ月ぶりに前年同月を上回った。ただ、売上高の大半は10億円以下で、中小企業の痛手は容易におさまっていない。
産業別は、卸売業が4件(前年同月2件)で半数を占めた。そのほか、農・林・漁・鉱業、建設業、製造業、小売業が各1件で、幅広い産業で発生した。
円安で上昇した仕入コストを中小企業は容易に販売価格に転嫁できず、資金繰り悪化に拍車をかけている。経済活動は平時に戻るが、エネルギー価格の高騰や賃上げの収益圧迫に加え、業績回復が遅れ、円安の影響が過剰債務に陥った中小企業の経営を脅かしている。